脊柱管狭窄症(腰部脊柱管狭窄症)
脊柱管狭窄症(腰部脊柱管狭窄症)について
脊柱管狭窄症(腰部脊柱管狭窄症)とは?
脊柱管狭窄症(腰部脊柱管狭窄症)は、放置しておくと改善が難しくなります。 なによりも、早めの対処が肝心です。
脊柱管狭窄症(腰部脊柱管狭窄症)とは、どのような病気なのでしょう
脊柱管(図1)には、脊髄・馬尾(神経の束)という神経が通っています。
「腰部脊柱管狭窄症」とは、「図2」のように、腰部の脊柱管が、何らかの原因で狭くなり、
脊柱管の中を通っている神経が圧迫されることによって腰痛や痺れをおこす病気です。
若年から高齢まで、あらゆる年代で発症する可能性がありますが、50・60歳代~70歳代までの方々に、多く発症する傾向にあります。
脊柱管狭窄症(腰部脊柱管狭窄症)の症状の特徴
- 長い時間歩けないが、しばらく休むとまた歩ける。「間欠跛行(かんけつはこう)」
脊柱管狭窄症の症状の特徴として、しばらく歩くと、だんだん下肢が痺れたり重くなったり、痛みが出たりして、歩くことが困難になります。しかし、腰掛けたり屈めたりして「しばらく休むとまた歩けるようになる」という、「間欠跛行(かんけつはこう)」という状態が、脊柱管狭窄症の症状の特徴です。
持続して歩ける時間は、1~2分の場合から10分程度など、脊柱管狭窄症のレベルによって、違ってきます。
「間欠跛行(かんけつはこう)」について、理解してほしいことは、「年齢のせいで歩けなくなった」のだろうとの「思い込みや自己判断」で、放置し悪化させることのないように、ご家族やまわりの人達にも、十分注意して頂きたいものです。
- 前かがみになると楽
また、腰を反らせる状態、立って腰がのびた状態で痛みが強くなる為、手押し車/乳母車/カートや自転車に乗って、「前かがみになると楽になる」という特徴があります。
前かがみになると楽になるのは、体がいくらか前かがみになることによって神経への圧迫が緩むからです。
脊柱管狭窄症のタイプ(どこが圧迫されるか)による症状の違い
先にあげた「間欠跛行」が、脊柱管狭窄症における共通した症状ですが、どこ圧迫されるかによって、出てくる症状も様々です。
- 「神経根」が、圧迫されるタイプ
図2は、左右の両方の神経根が圧迫されている例ですが、左右どちらかの神経根が圧迫された時は、圧迫されたほうに、腰から足にかけての痺れ・痛みの症状が出ます。
- 「馬尾(ばび)」が、圧迫されるタイプ
図2のように、馬尾(神経の束)が、圧迫されると、「足の痺れ」「麻痺」「脱力感」、便尿が出ない・我慢できないなどの「排泄障害」が起こったり、ムズムズした感じやチリチリした感じを覚えたりする事もあります。
先の「神経根を圧迫されるタイプ」より、症状が重いタイプです。
また、すべり症に関連する場合も多々あります。
- 混合タイプ
「神経根」「馬尾」、両者の症状が現れます。
脊柱管狭窄症(腰部脊柱管狭窄症)の原因
脊柱管狭窄症とは、文字通り脊柱管が、何らかの原因で狭くなり、その結果、神経や血管を圧迫するために起こるものと説明しました。
では、なぜ脊柱管が狭くなるのか(狭いのか)? 脊柱管狭窄症の原因を、下記にあげてみます。
・先天性脊柱管狭窄症 生まれつき脊柱管が狭く、脊柱管が正常より狭く成長したものが原因
・後天性脊柱管狭窄症 すべり症により脊柱管が狭くなったもの、椎間板ヘルニアなどによる合併狭窄、腰椎への手術などにより狭窄したもの、外症によるものなどが原因。 成長途中で脊柱管に十分な広さが出来なかったものが原因。 中高年に多いことからも、加齢による病気や変性が原因。
などが、脊柱管狭窄症の原因としてあげられます。
脊柱管狭窄症の病院での検査~治療方法
▼ 脊柱管狭窄症の治療 「保存療法」
排泄障害があるときなど症状が重い場合は、手術が検討されますが、「神経根が圧迫されるタイプ」などで、症状の軽い場合は、「姿勢の改善」「運動」を心がけ、痛みがある場合は、「安静」を心がけながら、下記の保存療法を中心に治療を進めます。
・薬物療法
「非ステロイド性消炎鎮痛薬」や「内服薬」、「貼付薬」「塗り薬」などの薬物療法が行われます。 又、血管を広げる作用をも持つ「循環障害改善薬」を使用して、血流の改善を図ります。
・理学療法
血行の改善を即すために、ホットパック(蓄熱財)による温熱療法。超音波療法、場合によっては腰椎の牽引を行います。
・装具療法
腰部を安静させる目的で、腰部コルセットを装着します。 腰を少し曲げた状態で固定する「屈曲コルセット」を使用する事も。
・神経ブロック
痛みの伝達を遮断(ブロック)する事や、血流改善、炎症を鎮める目的で、「局所麻酔薬」を注射します。
「硬膜外ブロック」などの方法があり、硬膜外ブロックで効果の無い人には、神経根に直接注射する「神経根ブロック」が行われる。
・鍼灸治療
この疾患による症状発現の原因は、脊柱管が狭くなり、足を支配する神経の血流が低下するためと考えられており、鍼灸治療の最大の目的は神経血流を増加させることです。神経血流を増加させる鍼灸治療として、1.「夾脊穴刺鍼(脊柱の周囲への刺鍼)」、2.「陰部神経鍼通電療法(臀部にて陰部神経付近まで刺鍼し電気的に刺激を与える)」、3.「神経根鍼通電療法(障害を受けた神経の根元付近まで刺鍼し電気的に刺激を与える)があり、臨床的な効果を認めています。症状の程度や性質によりこれらの治療法を使い分けます。
脊柱管狭窄症の手術について
脊柱管狭窄症の手が検討されるケースは、強い神経障害がある場合や、姿勢の改善指導をはじめ、保存療法をしばらく続けてみても「歩ける距離が短い」など、保存療法で効果が得られなかった場合などです。
▼ 痛みの原因により異なる脊柱管狭窄症の手術療法
脊柱管狭窄症の手術の基本的な考えは、「脊柱管を広げることで神経への圧迫を取り除く(除圧)」事になります。
手術法については、「痛みの原因(どのように神経が圧迫されているかの範囲や程度、症状)」によって、「開窓術」「椎弓切除術」などと異なります。 除圧部位に支障をきたす場合は「固定術」の併用を行います。
痛みの原因により、手術方法が異なるや、中には、診断や手術方法難しいケースもある為、脊椎専門の整形外科に手術してもらうことが、望ましいでしょう。
- 脊柱管狭窄症の手術に関する重要ポイントは「早期発見」「早期治療」が重要です。
通常、馬尾障害がある場合は手術をすすめられますが、馬尾障害がみうけられても、手術をしないで保存療法が有効な事も確認されております。しかし、手術をしないで保存療法が有効になるケースは、「早期発見と早期治療」を、した人になるそうです。 このことからも、先にも述べたとおり、「年齢のせいだろう・・・等」の自己判断で、放置してしまわないことが重要です。