シンスプリント
シンスプリントとは脛骨過労性骨膜炎とも呼ばれ、運動時および運動後に下腿中下1/3部の脛骨内側後縁に痛みを訴えるスポーツ障害です。ランニングやジャンプなどの運動によって起こることが多く、慢性的な疼痛と圧痛が主な症状として現れます。
その病態は、後脛骨筋・長母趾屈筋・長趾屈筋・ヒラメ筋の脛骨起始部に繰り返し加えられたストレスによる骨膜の炎症反応であるといわれています。また非常によく似た症状を呈する障害として脛骨の疲労骨折があり、注意深い鑑別が必要となります。
こんな症状ありませんか?
・脛骨内側後縁の慢性的な疼痛および圧痛
・歩行、走行時の着地や蹴り出す際の響くような痛み
・患部に腫脹や凹凸を触れることもある
・足趾や足関節を底屈(屈曲)、背屈(伸展)させることにより誘発される痛み(特に底屈時)
治療(高周波+超音波+電気鍼+手技マッサージ+テーピング)
当院の治療は高周波や超音波で患部の血流を改善し、電気鍼と手技マッサージで消炎鎮痛を促します。痛みが強ければテーピングを施します。
局所の安静
疼痛が強い重症例では、痛みの原因となっているスポーツ活動を一時的に中断し、
患部にかかる負荷を制限します。発症に直接影響を及ぼした運動内容だけではなく、ランニング・ジャンプに関連した動作であれば患部にストレスをかける可能性もあるため、関連動作をチェックして痛みの程度に応じて運動制限のアドバイスを行います。
痛みの程度に応じて、水中ランニングやエアロバイクなどの荷重制限トレーニングから始め、徐々にウォーキング、ジョギング、ジャンプ動作へと移行していきます。目安として、その場片足跳びでチェックして痛みが無くなったら、早歩きから軽いジョギングで様子を見てジョギングを開始していきます。
また患部の安静を図っている期間においても、他の運動機能が低下しないように患部外トレーニングも必要になってきます。とくに体重支持に重要な役割を果たす大腿四頭筋の筋力強化や柔軟性向上、あるいは体幹筋力の強化は各種目に共通して不可欠な要素です。
また、陸上競技やサッカーなどのように、ランニングが主体となる競技で、とくに心肺機能や筋持久力の維持が必要な場合では、水中に浮いた状態でのランニング(アクアラン)が効果的なトレーニングとなります。
スポーツ選手の多くは身体活動量の低下に対する不安感があり、練習を休むこと、競技の戦列から離れることに対してマイナスのイメージを持つことが多く、そのような場合は患部に負担のかからない患部外トレーニングを工夫し、精神的な充足感をサポートする必要もあります。