鍼灸
東洋医学の特徴って何?
まず西洋医学では、病気の原因となるものは取り除くべきだという考えのもと、病原菌を排除する薬剤を投与したり、患部を切り取る手術といった処置を行います。一方、東洋医学では、病気は体のバランスの乱れから起こるという考えに基づき、生体をトータルに把握し、患者の心身の均衡を取り戻す治療に主眼を置いています。西洋医学が「局所的」に患部の痛みなどを取り除く「対症療法」であるのに対し、東洋医学は「総合的に」病の元を治す「根治療法」ともいえるでしょう。
また、人間を含めてすべての生き物は、「自然治癒力」を備えており、その能力をフルに生かせるように体質改善を図るとともに、日頃から病気にならない健康体に導いていく予防医学的側面を持つことも、東洋医学の大きな特徴の一つです。
健康の知恵「養生訓」
「養生訓」というのは、江戸時代に貝原益軒が著した、「健康ノウハウ本」であります。
そこには、1.道を行い、善を楽しむこと 2.病なく、快く楽しむこと 3.長生きして、人生を楽しむこと
の「三楽」を実現して真の幸福を得るためには、いかに健康が重要かが説かれています。「命みじかければ、天下四海の富を得ても益なし。〜然れば道にしたがひ身をたもちて、長命なるほど大なる福なし。」(巻第一総論上より)
在宅での鍼灸治療
腰や膝、肩、手足、の痛みや麻痺などにより通院が困難なケースがあります。そこで、在宅での鍼灸治療が注目を集めています。安静が必要な方の場合、家に居ながらにして治療が受けられることは、大変ありがたいものです。また、介護している家族の負担も軽減され、場合によっては、家族も一緒に治療を受けることで日頃の疲れが癒されるということもあります。在宅での鍼灸治療は、高齢化社会が進む現代社会に求められているサービスの一つです。
小児鍼でお子様を健康体質に
小さいお子様に鍼治療をというと、大人の方々は多少の抵抗感を持つかもしれません。小児鍼は皮膚に直接鍼を刺すのではなく、特殊な鍼を用いて擦る程度の軽い皮膚刺激を施していくことを主とした治療法。さらに副作用もなく、安全で自然志向な治療法です。
夜泣き、かんの虫、消化不良、小児喘息、体質改善などなど、さまざまな症状に鍼が有効なことは実証済み。WHOも鍼の効果に対してお墨付きを与えています。お子様は心と体の両面において刺激に対する感受性が高く、いろいろな刺激に敏感に反応し、不安定な状態になりやすいものです。成長期のお子様にとって大切なのは、「触れる」に代表される親子のスキンシップなのです。(SEIRIN.鍼のはなしより)
ご家庭で簡単つぼ療法
1.口内炎
口内炎ができてしまったら、手の親指と人差し指の交わるところのくぼみ「合谷」のツボを反対の手の親指で強く刺激してみて下さい。肘を曲げたときにできる横しわの外端「曲池」も口内炎によく効くツボです。胃腸の調子を整えるツボとして、みぞおちとおへその真ん中「中かん」、膝の下の外側のくぼみから四指幅分下の「足三里」を押すのも効果が得られます。
2.花粉症
花粉症の症状の一つに目のかゆみがあります。そんな時、内目尻と鼻の根元のくぼみ「睛明」、目の下の「承泣」のツボを刺激してみて下さい。指で2〜3秒押したら離すという動作を繰り返すことで、徐々にかゆみが治まり、目がすっきりしてきます。さらに、目尻の外側、指幅一本分ほどの骨のくぼみが「太陽」で、このツボもまた目のかゆみに効果的です。
また、鼻づまりも花粉症の症状の一つです。まず頭のてっぺん中央にある「百会」、内目尻と鼻の根元の中間のくぼみ「睛明」、小鼻の両脇の「迎香」を押さえます。この他にも、人差し指と親指の間のくぼみ「合谷」というツボが昔からよく効くとされています。また、アレルギー体質によるものは、首の後ろの根元、第七頚椎棘突起の下にある「大椎」のツボを押さえるのを忘れないようにしましょう。
3.むくみ
一日立ち仕事をしたり、座って過ごしたりして、夕方になって靴が窮屈に感じたことはありませんか?
これは、血液の循環が悪くなったことによって起こる足のむくみの一種です。こんな場合、腰の第二腰椎棘突起下より左右外側へ二指幅分のところにある「腎兪」。さらに、へそから親指幅分上の「水分」、へその左右両側三指分の位置にある「天枢」、手首甲側の関節の中央「陽池」、内くるぶしから上へ三指幅分でアキレス腱の縁に位置する「復溜」なども、ぜひ押さえてみて下さい。
4.冷え症
秋から冬へと季節が変化する時期は、冷え症対策に万全な備えを。
冷え症に効くツボとしては、へその両外側の「肓兪」、があります。さらに、第四腰椎棘突起下から左右外側へ指幅ニ本分に位置する「大腸兪」も、骨盤内の臓器の機能を整えるうえで有用です。特に、足が冷えるという場合には、足の裏で足指を屈すると最もくぼむところある「湧泉」のツボが効果的。
5.偏頭痛
偏頭痛の特徴は 1.小児期から 2.家族的要因 3.女性に多い。
性格的: 頑固、非寛容性、固執的、精神的な因子をもつ。
頭部の血管運動神経の不安定からおこり、前兆期に脳や網膜の血管が収縮する。
痛みの特徴は 1.一側性頭痛 2.吐き気など胃腸障害 3.閃輝性暗点 4.家族歴。
偏頭痛は上記のような特徴があるので、東洋医学的治療としては、精神的安定と頚部の筋緊張の弛緩を図るため、頭のてっへんの百会というツボと後頚部の髪の毛の生え際の筋腹の「天柱」というツボとその外側の窪みの「風池」というツボに鍼または指圧します。これだけでもかなり楽になります。胃腸の症状がある場合はそのツボも治療します。鍼治療がお奨めです。頭痛薬の量も減らせますし、完治も望めます。頭痛薬ばかり飲んでいると副作用もあるので、どうしても辛い時に飲むようにしましょう。
6.メニエル病
メニエル病は内耳の内リンパの水腫であると考えられています。
原因としては、循環障害・アレルギー・内分泌異常・自律神経異常などが上げられます。
当院では頚部の「星状神経節傍刺鍼」という技術で自律神経に刺激を与え、めまいを取り除きます。九州では当院しかやっていません。
当院では耳鼻咽喉科でメニエルだと診断されてた患者さんが30人以上来院されまして、その中の半数は10年以上病院通いをされていて、ひどい時は入院されるくらい重症でした。ところが、当院で治療されてからはめまい発作は起こらなくなりました。
また、メニエルはめまい・耳鳴り・難聴をともないますが、症状がめまいと吐き気のみで頭を動かすと悪化するタイプは良性の発作性頭位眩暈症であることが多いです。この場合はメニエルよりもさらに即効性があります。
7.逆子
逆子の出産は危険を伴うため、帝王切開になることが多いのですが、文献ではお灸をすることによって8割近くの逆子の矯正が可能といわれています。当院でも8割程度の成功率を収めています。当院では逆子治療に「三陰交」に直接灸(半米粒大)6壮と「至陰」に直接灸(半米粒大)を6壮程度しています。また、それにプラスして自宅のベッドや布団の上に四つん這いになって、左右に転がるごろりん体操もやってもらってます。是非、お試しあれ。
ただし、胎児の臍帯が短かったり、胎児の首に巻きついている場合は逆子の矯正が難しいようです。
8.不眠症
心地よい眠りが得られない、いわゆる不眠症の原因は精神的なものが考えられますが、加えて肉体的な症状をともなう場合もあります。
不眠でお悩みの方で寝つきが悪いときは首の後ろの中央のくぼみと耳の後ろの骨を結んだ線の中間で左右に位置する「風池」というツボを指圧してみてください。また、夢ばかりみて熟睡できず途中で目が覚めるときは第5胸椎棘突起下より左右外側へ指2本分「神兪」を指圧してみてください。
9.物忘れ
最近、患者さんから物忘れに効くツボはないの?とよく聞かれます。
物忘れでお悩みの方は頭のてっぺん中央にある「百会」と人差し指と親指の間のくぼみ「合谷」というツボを指圧してみてください。
当院ではこれらのツボに鍼をしていてかなり効果が出て喜ばれています。是非、お試しあれ。
10.坐骨神経痛
坐骨神経痛は治らないと諦めていませんか?坐骨神経痛の原因には腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、梨状筋症候群などがあります。その中で35歳を過ぎたものは梨状筋症候群であることが多いようです。当院に来院された坐骨神経痛の患者様は臀部の梨状筋部と大腿部〜下腿部のツボに電気鍼をすることによってかなりの方が治癒ないし軽減されています。坐骨神経痛でお悩みの方は是非お試し下さい。
11.便秘
最近、便秘でお悩みの患者さんが増えています。特に便秘は女性に多い傾向があります。その原因は内科の病気を除けばストレスなどにより腸の動きが悪くなっていたり、腸が緊張してうまく食物を送り出せなくなっていることにあります。そこで便秘のときはお臍のした辺りから平仮名「の」の字を書くようにマッサージしてみて下さい。きっと、腸の動きを助けてくれ、腸の緊張を取り除いてくれるでしょう。そして、それでもダメな時はお臍の外方2寸と外方4寸の天枢、大横や天枢の下方2寸の太巨を押してみて下さい。是非お試しあれ!
12.寝違い
朝、起きると首が回らない。動かすと激痛!一度はみんな経験があるでしょう。家庭でできる簡単な応急処置としてホットタオルを痛みを感じる場所に当ててみて下さい。温熱効果で筋肉がゆるみ痛みが和らぎます。予防するには枕が大事です。首にフィットする枕を選びましょう。また、寝違いに良いツボは首の後ろの髪の生え際にある二本の筋肉の左右外側の天柱というツボと天柱の指一本分外側の窪みの風池というツボと耳の後ろから首の前の方にある胸鎖乳突筋の圧痛点を指圧してみて下さい。きっと可動域が広がります。是非お試しあれ!
13.眼精疲労
長時間のパソコン、車の運転などはどうしても目が疲れてしまいます。目が疲れた時は集中力がかけたり、動体視力や視野に影響します。眼精疲労によく効くツボは眉毛の内端の窪みにある「攅竹(さんちく)」 眉毛の外端の窪みにある「糸竹空(しちくくう)」、内目尻と鼻の根元の中間の窪みにある「晴明(せいめい)」、首の後ろの中央の窪みと耳の後ろの骨を結んだ線の中間にある「風池(ふうち)」手の甲の親指と人差し指の間の窪みにある「合谷(ごうこく)」などがあります。是非、指圧してみて下さい。軽い疲れ目なら回復するはずです。